大判例

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名古屋高等裁判所金沢支部 昭和56年(う)126号 判決

所論は要するに、被告人が覚せい剤取締法四一条の八所定の周旋をした者に過ぎないのに、原判示譲渡行為を敢行したものと認定し、該所為を同法四一条の二第一項二号違反の罪に問うた原判決は事実を誤認したもので、右事実誤認が判決に影響を及ぼすことが明らかである、というのである。

所論にかんがみ、記録を調査して検討するに、覚せい剤取締法四一条の八所定の周旋罪は、昭和四八年一〇月一五日法律第一一四号「覚せい剤取締法の一部を改正する法律」により新設された規定であり、その改正の趣旨を参酌すれば、前記周旋罪は被周旋者について譲渡又は譲受罪が成立しない場合のみ成立し、被周旋者について譲渡又は譲受罪が成立するに至つた場合(既遂又は未遂を問わない。)には、同罪の単独犯ないし共犯として周旋罪よりも重く処罰することとなると解すべきである。

これを本件についてみると、原判決挙示の証拠によれば、被告人は、加藤光蔵から覚せい剤の入手方を依頼され、昭和五六年二月、小林某から覚せい剤四包(一包約〇・八グラム入り)を自己の所持金一一万二、〇〇〇円を支払つて譲受け、同月下旬には加藤光藏に対し、同年三月四日には同人及び秋元昭徳に対し、前記覚せい剤各二包を各現金六万円と交換に売渡したことが認められるから、右三月四日の覚せい剤売買につき被告人には同譲渡罪が、加藤光藏らには同譲受罪が成立すること明らかで、被告人につきこれと同旨の事実を認定し、被告人の該所為を覚せい剤取締法四一条の二第一項二号の罪に問擬した原判決には、所論のような事実誤認は認められない。

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